試合概況
どうも！マンチェスター・ユナイテッド研究所です。
今回は、11月8日（土）に行われたプレミアリーグ第11節・トッテナム戦の試合レビューを書いていきます。
結果は――2対2で勝ち点を分け合う形となりました。
前半に先制し、長らくリードを保っていたユナイテッド。しかし、終盤トッテナムの猛攻を受け2失点。このまま逆転負けかと思われた、ラストプレーでのコーナーキックで同点に追いつき、なんとか勝ち点1をもぎ取りました。
少し前までのユナイテッドであれば、追いつけなかったでしょうし、2失点したところからさらに崩されて失点を重ねていてもおかしくない展開でしたが、直近のユナイテッドは底力を感じさせるようになりました。
スタメン
前節のフォレスト戦からは3枚の変更。シェシュコ、ダロト、ヨロがベンチスタートとなり、マズラウィ、ドルグ、マグワイアがスタメンに。アモリムは試合数が多くない割に、ローテーションしてきますね。まだ選手の配置で正解が見つかっておらず、試行錯誤しているのか、相手に合わせて選手を選んでいるのか、どちらなんでしょうね。
前半
立ち上がりは、両チームともにハイプレスを掛け合うオープンな展開となりました。
ユナイテッドはこの試合でも、ブルーノとカゼミロの中盤2枚が高い位置を取り、前線から積極的にボールを奪いにいく場面が目立ちました。
また、中盤のラインを越えたボールに対しては、ショウとデ・リフトのサイドCBが前に出て潰す形が徹底されていましたね。
攻撃面では、ユナイテッドはロングボールにエンベウモが競り、そのこぼれ球から攻撃を組み立てる展開が続きました。
一方のトッテナムは、右サイドからのクロスを軸に攻撃を組み立ててきましたが、クロスの精度を欠く場面が多く、ユナイテッドとしては救われる場面が目立ちましたね。
16分 トッテナムのチャンスシーン。
右からのスローインに対して、カゼミロが奪いにいきますがポロとシモンズのワンツーで簡単にかわされます。
カゼミロの守備が軽く、簡単に前を向いたシモンズから、右サイドのジョンソンへ。ドルグも軽い守備をしてしまい、簡単にかわされてクロスを上げられます。
中ではリシャルリソンが待っており、ドンピシャのクロスでしたがミートせず、ユナイテッドとしては助かったシーンでした。カゼミロが出て行ったところは、見返すと本来ショウがシモンズまで出てきていなければいけないシーンだったかなと思います。
22分 ユナイテッドのチャンスシーン。
トッテナムのビルドアップにマズラウィがプレッシャーをかけたところから、ハイボールをマズラウィが競り勝ちます。このボールはスペンスが後方に浮き玉で戻しますが、これにクーニャが反応。
巧みなボールコントロールで寄せてきたロメロをかわし、エリア内に侵入。
シュートを打ちましたが、戻ってきたサールにブロックされました。逆サイドにはエンベウモも走り込んでいましたので、惜しいシーンでした。
この辺りから、ユナイテッドのプレスがハマるようになりました。トッテナムは、思っていた以上にビルドアップにこだわってくれていたおかげで、ユナイテッドは守りやすかったように思います。
32分 ユナイテッドが先制します。
ドルグのクロスにエンベウモが合わせますが、このボールはミートせず。スペンスがクリアします。
クリアしたボールを拾ったマズラウィからクーニャ、アマドと繋がります。
アマドのクロスに、ファーサイドでエンベウモが合わせネットを揺らしました。合わせたエンベウモは素晴らしかったですが、アマドのクロス精度も高かったですし、アマドの裏を走ったマズラウィの動きも重要でしたね。
その後は、トッテナムが攻勢に出る場面もありましたが、集中した守備を見せリードを保ったまま前半終了のホイッスル。
後半
トッテナムはコロムアニを下げてオドベールを投入。オドベールが左サイド、リシャルリソンを真ん中に配置を代えて後半スタート。
48分 ユナイテッドが見事なビルドアップを見せました。
ショウがシモンズのプレスを受けながらも、降りてきたエンベウモに正確なパスを通します。
エンベウモはポロを引き付けつつ、ワンタッチでサイドに流れたブルーノへ落とす。
ブルーノは、そのボールをダイレクトでポロを釣り出した裏のスペースへ走り込むドルグにスルーパスを通しました。
サイドを駆け上がったドルグは、クーニャへパス。
ボールを受けたクーニャは、そのままポケットを陥れると、切り返してアマドへクロス。
アマドとのタイミングがズレ、繋がらず。
54分 トッテナムのチャンス。
左のスローインから、オドベールにクロスを上げられます。
このボールに飛び出したロメロが合わせますが、ラメンスが見事なセーブ。ユナイテッドを救いました。アマドには、もう少し寄せてほしい場面でしたね。
直後のフリーキックの流れから、パリーニャにボレーを許しますが、このシュートもラメンスがセーブ。ブラインドの状態だったと思いますが、素晴らしいセーブでした。
ラメンスは本当にいいキーパーですね。
どちらのシュートも、正直オナナやバユンドゥルでは止めるのは難しかったのではないでしょうか。
58分 ユナイテッドの選手交代。
マズラウィを下げて、シェシュコを投入。後半から、ロングボールをキープできずにピンチを招くシーンが増えていたこともあり、前線に高さを加えてきました。理にかなった交代だったと思います。個人的には、マズラウィではなくドルグを下げて、マズラウィを左WBで試してみて欲しかったです。
62分 トッテナムに決定機。
クーニャのドリブルをロメロにカットされると、こぼれ球をポロがブルーノをかわしてキープ。
中央でフリーになっていたリシャルリソンへのパスを通されます。
リシャルリソンがジョンソンへスルーパスを送り、ジョンソンがネットを揺らしましたが、判定はオフサイド。
ファーサイドではオドベールがフリーになっていたため、もしそちらに出されていれば決められていたかもしれません。
ただ、デ・リフトがファーを消すような動きをしていたこともあり、リシャルリソンはパスを出せず。（単に見えていなかっただけかもしれませんが……）
ユナイテッドとしては、助かる場面となりました。
71分 ユナイテッドの選手交代。
マグワイア、クーニャ、カゼミロを下げて、ヨロ、マウント、ウガルテを投入。マグワイアはハムストリングを痛めての交代となり、心配ですね。
シェシュコ投入後のユナイテッドですが、右シャドーにクーニャ、左シャドーにエンベウモという配置を試していました。やりにくそうにしている場面もありましたが、前半に見られたエンベウモ、ブルーノ、ショウの関係は良かったので、そのままの形を維持したのかもしれません。マウント投入後も右のシャドーに入っていたので、何か狙いがあったのでしょう。
78分 アマドの守備からシェシュコが抜け出しチャンスを迎えましたが、右足に持ち替えたタイミングで寄せられシュートを打てず。ブンデス時代のシェシュコであれば、そのまま左足で打っていたと思います。自信のなさが現れるプレーでした。自信をつけるためにも、もっと積極的にシュートを打っていってほしいですね。
80分 ユナイテッドの選手交代。
直前のプレーでイエローカードをもらっていたドルグを下げて、ダロトを投入。退場になるリスクを下げるための交代と思われます。
84分 トッテナムが同点に追いつきます。
ユナイテッドのビルドアップを引っ掛けられたところから、オドベールに繋がります。
ウガルテがついていきますが、奪えず左サイド駆け上がってきたウドジェへ。ウドジェは、グラウンダーのクロスをテルに届けます。
このボールを完璧なトラップで収めたテルは、デ・リフトをかわして反転しながら見事なシュートを放ち、ゴール右隅へ突き刺しました。
この失点はラメンスにもどうすることもできず、テルの技術を称えるべきゴールだったと思います。
直後の86分 ユナイテッドに決定機。
ラメンスのロングボールをマウントが収め、シェシュコへスルーパスを送りエリア内に侵入しましたが、ファンデフェンがブロックし、キーパーにキャッチされます。さらに、このプレーでシェシュコが膝を負傷し、プレー続行不可能に。交代枠を使い切っていたユナイテッドは、残りを10人で戦うことになります。
91分 トッテナムが勝ち越します。
コーナーキックのこぼれ球に反応したオドベールがシュートを放つと、エリア内でリシャルリソンがコースを変え、ネットを揺らしました。これも、ラメンスはノーチャンスでしたね。
しかし、ここで終わらないのが今のユナイテッド。
96分 ユナイテッドがラストプレーで同点に追いつきます。
まず、エンベウモがコーナーキックを獲得します。クロスではなく、数的不利の影響を受けにくいセットプレーを取ってくれたのは非常に大きく、エンベウモの判断力と賢さが光りました。
このコーナーには、ラメンスもゴール前まで上がってきます。
ブルーノの蹴ったボールはファーサイドへ。デ・リフトはいったんジョンソンを引き連れて中央のラメンスの元へ向かい、ジョンソンの注意を引きつけます。その結果、ジョンソンはデ・リフトを見失い、ラメンスのマークについたまま。すると、デ・リフトはファーサイドへ走り込みます。ショウがベンタンクールをブロックしていたこともあり、デ・リフトはフリーの状態で合わせ、ユナイテッドが土壇場で同点に追いつきました。
その後間も無く、試合終了のホイッスル。終盤に1人少ない状況で逆転を許すという、アウェイでの厳しい展開となりましたが、ユナイテッドはなんとか勝ち点1をもぎ取りました。
選手評価
ラメンス 7
2失点は喫したものの、それ以上にトッテナムの決定機を阻止。オナナ、バユンドゥルでは提供できなかった安定感をもたらしている。
デ・リフト 8
守備面での貢献はさることながら、ラストワンプレーで同点弾を決め、チームを救った。
マグワイア 7
それほど目立つ場面はなかったが、安定したパフォーマンス。怪我が心配。
ショウ 7
サイドCBでのプレーを自分のものにしている。守備面では、前進守備でシモンズを徹底マークし自由にさせなかった。攻撃面でも効果的な縦パスを供給しチャンスを演出。欠かせない選手になりつつある。
マズラウィ 6
安定感のあるパフォーマンス。ボール扱いが上手く、アマドとの連携も良かった。
カゼミロ 7
ここ最近は、好調を維持。カゼミロが退いてから2失点したのは、偶然ではないだろう。ブルーノにマークが偏っていたこともあり、比較的フリーでプレーでき高パフォーマンスだった。
ブルーノ 7
少し判断が遅いと感じる場面もあったが、厳しく寄せられてもプレス回避。攻守に走り回り貢献していた。コーナーキックからデ・リフトの同点弾をアシスト。
ドルグ 6
高い運動能力を活かしきれていない。守備面で後手を踏むことが多く、身体能力でギリギリなんとかしている感がある。今後の成長に期待したい。
アマド 7
エンベウモの先制点を、素晴らしいクロスで演出。久しぶりのシャドーでのスタメン起用に答えた。どちらのポジションもそつなくこなす。
エンベウモ 8
先制点に、同点弾につながるコーナーキック獲得など、文句のつけようがない。
クーニャ 6
前半惜しいシーンもあったが、またも数字は残せず。数字以上に貢献してくれているので、引き続き期待。
まとめ
この試合は、評価の難しい試合でしたね。先制しながらも逆転されたとネガティブな見方もできますし、数的不利の状況で追いつくことができたとポジティブに捉えることもできます。
フォレスト戦、トッテナム戦とアウェイゲームは2試合ともに同じ展開になり、課題が浮き彫りとなりました。まず、良い流れのまま先制できるようになったのはよくなっているとして、その後追加点が決められないこと、流れが悪くなるとなかなか断ち切れずに逆転を許す展開を作ってしまうこと、この2点が直近の課題といえます。
とはいえ、アウェイで数的不利の中追いつくことができたというのは、非常に大きいと思います。チームとしても、確かな手応えを感じているのではと思います。開幕から少しずつ良くなっているのは間違いありません。アモリムの”攻撃は最大の防御”という考えは、賛否両論あると思いますが個人的にはすごくユナイテッドにあっていると思います。不安なポジションもありますが、新戦力も上手くフィットしてきていて、チームを牽引してくれています。このまま、チーム一丸となってCL出場権を獲得できるようにしっかりと勝ち点を重ねていってほしいと思います。
次節は、インターナショナルマッチウィーク明けの11月25日、ホームでのエヴァートン戦です。勝ち点3は必須のゲームになります。まずは、代表選手たちが無事に戻ってきてくれることを願いましょう。
ここから“強いユナイテッド”が戻ってくることを信じて――。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました！
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